新地の昔話 [m110422]

新地の昔話 [m110422]

販売価格: 500円(税込)

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♪新地の昔話

編 : 新地語ってみっ会 (しんちかたってみっかい)

単行本 : 114ページ
出版社 : きれい・ねっと A5版
言語 : 日本語
発売日 : 2011/4/22

♪内容紹介

『新地の昔話』をお読みくださる皆さまへ

この冊子を手にとってくださり、まことにありがとうございます。
編集・製作をさせていただきました
新日本文芸協会の山内尚子です。

お気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、
本書には通常なら必ずある、まえがきやあとがきがありません。
これには理由があります。

皆さまは、この昔話の舞台、
福島県新地町という場所をご存知でしょうか。
東北大震災の直後、計測の取れた数少ない場所として
津波の高さが何度も報道された、福島原発にも近い場所です。
その新地町という港町に、
私の大切な友人で本書の文責をつとめられた、
村上美保子さんがいらっしゃいます。
新日本文芸協会設立当初から、俳句の会などを通じてご一緒してきました。

昨年には、百二十年以上の歴史を持ち、
彼女が女将をつとめられている旅館朝日館にて、
朗読会を開催させていただくこともできました。
幸い美保子さんはご無事でしたが、
彼女が大切に守り営んできた朝日館は……というよりも新地町のすべてが、
津波で流されてしまいました。

実はその美保子さんから震災のすこし前に、
この地方の口伝えの民話の原稿と
その舞台となった神社などのお写真が弊社に届いていました。
納期まではまだ時間があったのに、
お互いになんとなく気になって、届けていただいたのです。
原稿は震災後にはもう私の手元にしかなくなり、
またお写真にある景色も多くが失われてしまいました。
とても、まえがきやあとがきを書けるような状況では
なくなってしまったのです。

原稿を前にした私たちは
「なんとか仕上げて、新地の皆さまにお届けしよう」その一心で、
時には涙を流しながら印刷までこぎつけました。
それが本書です。

校正をしながら感じたのは、遠くに住む私たちは知らないけれど、
新地では当たり前に伝わってきたお話、
その土地の自然、そして方言の持つリズムでした。
方言のリズムはその土地にぴったりの呼吸のリズムであり、
それを血肉として育ってきた人々のルーツを見つめさせてくれます。

遠い昔、人々は田畑を耕し魚を追い、
お天道様に感謝し雨乞いをして、蛇をおそれきつねに化かされ、
自然とともに泣いたり笑ったり、
しっかりと自らの力で立ちながら、皆でつながり生きてきた……。

今、人はとかく遠くを、大きなものを見つめ、欲しがちだけれど、
ほんとうに大切なものはなんなのか、
ほんとうの幸せとはなんなのか。
昔話を語り継ぎたい「新地語ってみっ会」の皆さまの真摯な想いとともに、
期せずして届いたこの原稿が私たちに教えてくれるのは、
私たちの本来の生き方、その原点なのかもしれません。

私たち新日本文芸協会では、
これまで「みんなが主人公」となって表現し、
「今ここ」を楽しくご一緒しましょうとお伝えしてきました。

遠くとも同じ空の下つながっている被災された方はもちろん、
必要な皆様のもとへ、ほんとうの想いのこもった言葉の光が届くよう、
今こそ、これまでと変わることなく、
私たちにできることをしっかりさせていただけたらと思っています。

この冊子が新地町をはじめ、
必要としてくださる皆さまのもとへと届きますこと、
そしてお役に立ちますようにと、心からお祈りいたします。

感謝をこめて。

平成二十三年四月

新日本文芸協会きれい・ねっと代表 山内 尚子

※なお、この冊子の収益は、
 新地語ってみっ会の皆さまとご相談のうえ、
 全額を新地町のお役に立てていただけるようお届けいたします。